ライフサイエンスの基礎知識

有酸素運動との違い

有酸素運動とはどういう運動のことか

ダイエットや健康管理について書かれた本を読むと必ず「定期的に有酸素運動をしましょう」と書いてあります。
すっかり有名になった「有酸素運動」という言葉ですが、多くの人が抱いているイメージとしてはウォーキングや水泳など体に負担の少ない運動を長くするというものではないでしょうか。

そもそもなぜ「有酸素運動」というのかというところから説明をすると、人の体が何らかの運動をするときにはまず体内の筋肉の中にあるグリコーゲンという糖質をエネルギーとします。

このグリコーゲンは例えば急にダッシュやジャンプをするような強い負荷を体にかけたときにすぐに消費されるものなので、瞬間的な動作は酸素を使用せずに行うことができます。

しかしだいたい運動を継続して20分位を境目に、筋肉内のグリコーゲンではなく皮下脂肪が燃焼をしてエネルギーとして使われるようになります。

このとき脂肪をエネルギーに変えるための燃焼には酸素が必要となることから、同じ動作を長く続けることを「有酸素運動」と言うのです。

強度の高い運動であっても20分以上続ければ理屈では有酸素運動となりますが、全力で重いものを持ち上げたりする動作を20分以上継続するというのは普通の人には無理なので、必然的に継続しやすい軽めの運動となります。

なお強度の非常に高い運動を行うと「乳酸」という疲労物質が体内から出てくるため、長時間の動作を継続できなくなるだけでなく筋肉痛の原因にもなります。

有酸素運動で体の中に起ること

有酸素運動をしているときには皮下や内臓の周りにある脂肪が酵素により遊離脂肪酸という物質に変化します。
これが血液によって全身に運ばれていくことによりそれぞれの場所で酸素と結合してエネルギーとして使用されます。

もともと人の体の中にある脂肪というのはいざというときの余剰エネルギーの蓄積ですので、有酸素運動のようなカロリー消費の高い運動をするときには貯金を切り崩すかのように使用されていくことになるのです。

その理屈でいくとなんだか太っている人の方が長く運動することができるような気になりますが、それはまた別の問題です。
物理的に軽いものよりも重いものを動かす方が大量のエネルギーが必要となりますし、そもそも体の筋肉量が少なく脂肪が多い人は有酸素運動を長く継続させるための機能がありません。

痩せている人であっても脂肪が完全にゼロということはなく、プロのマラソンランナーのように非常にスマートな体系の人も42.195kmと長い距離を高速で走れるエネルギーが蓄積されています。

より有酸素運動を効果的に行うには、できるだけ運動強度の高い行動を長く続けられる筋肉を身につけることが重要になってきます。